平成26年6月11日(水) 校内研修 
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 今日は初めて村瀬公胤先生をお迎えして校内研修を行いました。4月に改めてスタートしてから2か月余りの授業実践を客観的に見ていただくのが主なねらいでした。2年生の柳沢学級と中井学級が算数の授業を公開しました。低学年はどの授業でもできるだけペアで聴き合う時間を大切にしています。協議会での村瀬先生のお話から,なぜペアの学びが子どもたちに必要なのか腑に落ちました。ペアになると全体(一斉)と違ってよく聴ける。うなずきながら聴ける。だから聴き方の密度が高い。先生が一斉に全体に説明するよりも時間が短縮できる,ということでした。確かにペアになったとたんに,全ての子どもが聴き手と話し手の役割を自然に交代しながら密度の高い対話を始めることがよくわかりました。より大切なことは,子どもが友だちに承認されることであり,自己有用感を高めるためのチャンスが授業の中にたくさん生まれることです。そのために,授業者の柳沢先生はあえて子どもの発言を繰り返すことをせず,別の子どもに代わりに説明してもらったり,同じことでも少し異なる説明の仕方で発言させたりして,子ども同士の聴き合いをコーディネートしていました。中井先生はペアを効果的に使ったことで授業の最後に振り返りの時間を十分にとって,ひとりひとりが今日学んだことの意味を改めて考えるきっかけをつくっていました。2年生の両方のクラスについて,コの字の形に机を並べて聴き合うときの子どもたちの様子についても,村瀬先生はたいへん興味深い指摘をしてくださいました。1人の発言があったことにより,そのことが波紋のように子どもたちに伝わっていく様子です。その時に子どもは(いいこと考えた!)というような表情をしたり,思わずとなりの友だちに何かをささやきかけたりします。ペアやコの字の配置もつ力を目の前で観察できた2年生の授業でした。3年生の算数ではなかなかの難問が出題されて,子どもたちは最後までああでもないこうでもないと考え抜いていました。子どもたちのリクエストに応えて高いハードルにチャレンジさせようという近藤先生のねらい通りでした。ジャンプの課題は届く範囲に設定するのか,それとも届かないところまで高めていいのか?村瀬先生はどちらもあるとおおしゃいます。そこから先は私たち自身がそれぞれの学級の子どもの学びを注意深く見ながら考えていくべき課題だと思いました。4年生の社会では,水はどこから?というテーマで探究活動をしました。この学校だけでも蛇口の数が三百個以上あると知って,子どもたちはびっくり。市内の全ての家庭の蛇口から出てくる大量の水はどこから来るのだろう。浄水場見学を控えた4年生はそれぞれが自分の中に課題を見つけることができたようです。4年生の子どもたちは驚きや不思議に出会うと自然にそれがつぶやきや表情に表れていました。そのため,学級の空気がとても軽くて,居心地のよい学習空間になっていました。私たちが目指しているのはこのような自然な学びの場です。自分の思ったこと感じたことを素直に表現してもよい。それを誰もが受け入れてくれる。そういう学級においては,誰もが安心して学ぶことができる。そんな学級を実現するために授業を通した人間関係づくりを進めているのです。5年生の算数では立体の体積の求め方を考えました。それぞれの子どもが展開図から実物の立体をつくることから始めた授業でした。とても器用に立体を組み立て終えると,今度はその立体を手でもって,あらゆる角度から見つめながら体積の求め方を考えていました。モノとの対話があちこちで見られ,自分で組み立てたからこそ気付いたこともあったようです。ジャンプの課題では「こんな式を立てた人がいます。この人はどんなふうに考えたのだろう。」という問いが発せられ,再びグループになって探究し合いました。そこでも驚くべきことが起こりました。ある子どもから授業者の師岡先生も予想していなかった考え方が飛び出してきたのです。師岡先生はもとより,村瀬先生もびっくりしていました。授業はやってみなければわからない。やる前に限界をつくってしまうより,思い切ってやってみるほうが何かが生まれるということを改めて学び直しました。午後の協議会では先生たちがグループになって柳沢先生の授業から学んだことを交流し合いました。市内の小中学校の先生方,青森県から参加された先生方,民間の方々など,異なる県や立場から多様な意見が交流される研修になりました。村瀬先生からは,教師自身が(自分が教えなければ・・・)という思い込みから卒業し,知識を分け与える授業から子どもたちが学び取る授業への転換を図ることの必要性,答えとなる図や数式から入って(こういう答えになるのはどういう問題かな・・・)という発想の転換,少しの工夫で教科書レベルの問題でもジャンプの課題にアレンジできること等,この2か月で私たちが確信をもてないまま悩んできたことに対するひとつの示唆をいただきました。私たち教師の新たな課題として,また次の研修会までの間,日々の授業実践を続けていきたいと思います。とても有意義な一日となりました。

 

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